ブックタイトルTAKAMATSU ART LINK 令和元年度報告書

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概要

TAKAMATSU ART LINK 令和元年度報告書

障害福祉サービス事業所 かすがの里、あじさい ×松岡 美江(美術家)link10それぞれの好きなことや大事にしていることを感じながら、素材や手法のバリエーションを広げることを意識し、外に繋げる方法を考えていくことにしました。同じ大きさの素材とクーピーで国旗を連ねていた方に、大きな布や長い紐を用意してみると、まるでリズムを刻んでいるかのような一定のスピードでそのサイズ感にあった国旗が続いていきました。またピンクを好んでいた方と一緒に色んな色と触れ合っていると、黄色とオレンジを経てカラフルな色彩に進んでいき、色合いの中には年月日を書いて塗るゾーンも生まれました。今回3m×4m ほどの大判に挑戦し、毎回終わりの時間まで途切れることなく着色し、クレヨン一本が終わると私に渡すというやり取りがなんとも柔らかく居心地の良い場所になりました。出来上がった素材は、ミシンで縫製し、金槌を使って加工しエプロンやテントなどに仕上げしていきました。この事業所ではカフェや調理にも力を入れていることから、そんな環境に沿った表現方法を試みました。決められた部屋の中だけではなく移動式スタイルで、自分たちで暮らしの場所を作り上げ演出するシーン、日常の生活をリンクさせながら食事したりゆったり過ごしたりするシーンを映像にします。当たり前にある状況をゼロから生み出す、どんなところへも移動していける方法を混ぜ合わせながらまだまだ制限のある環境を切り開くきっかけにと思っています。コマ割りのように小さく切られた絵を描くと決めている方がいます。一枚一枚細かな描写がされていてパラパラ漫画のようにストーリーが流れていたので、それぞれを繋ぎ合わせて展示の1つとしてコマ撮りアニメのように組み立ててみました。スタッフや周りの方との一日一日の関わり、前任者の活動の積み重ねを強く感じ、アートの時間を積み上げることでそれぞれに変化も表れているように思います。何が達成されて何を良しとするとかではなく、表現したいことを持続的にサポートしながら新しい発見へと切り開くことが重要と思います。ARTIST PROFILE松岡 美江/MATSUOKA mie1985 年香川県生まれ。神戸女子大学家政学部卒業後、Central Saint Martinsで学ぶ。壁のない日常の延長線上に芸術はあると考え、1年を通して各地域に足を運びながら、場所が持つ記憶と向き合い、人と衣食住との関わり合いや日常の素材を通して、主に縫う・編む・織る等の技法と、人が持つ技を掛け合わせながら地域の想いを編んでいる。他 、毎週1 回子どもたちと様々な表現活動をする高松市芸術士派遣事業に参加している。25 | | 26