ブックタイトル高松市障がい者アートリンク事業 平成28年度報告書

ページ
56/60

このページは 高松市障がい者アートリンク事業 平成28年度報告書 の電子ブックに掲載されている56ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

高松市障がい者アートリンク事業 平成28年度報告書

今年度は先生がかわり、参加するメンバーも増え新たな取組みも行なわれました。毎回にぎやかで楽しんでいる様子があります。はじめから参加している人の作品の中には、年々変化もみられ自信に満ちた作品もあります。各自がリラックスした時間の中で自由に大胆に描ける作品はどれもが見事に個性が引き出されている作品となっています。アートリンクの時間は参加している利用者の方にとっては、有意義で作品を通じて自己表現が出来る場になっていると感じています。この事業を通して利用者の方も自分たちの心の中でも変化しているものがあると感じているはずです。ぎんせいワーク 中村 光伸アートリンク事業に参加して3 年目、今年度からはアーティストの先生が新しくかわり、環境の変化に適応できるかと少し不安がありました。しかし、アートリンクを2 年間経験してきた皆さんは、アートの表現方法の知識や技術をもっと学びたいという気持ちの方が大きく、苦手としていた環境の変化を難なく克服していたようです。今年度は自分の好きな絵を模写することにチャレンジをしました。アートリンクの経験で磨かれてきた独自の感性が発揮され、模写する絵とは違った素晴らしい作品が続々と完成しました。またひとつ社会生活での自信となることが増えたようです。銀星の家 鵜川 和志アートリンク事業で得たものは、作品という宝物と個々の創造豊かな心と表現力です。2 年3 年と積み重ねた時間の中で、参加利用者の生活が豊かになり、活動が定着しています。日常的にコミュニケーションが困難な方もアートを通して意思が表現できるようになりました。毎回の積み重ねにより様々の個性を表出することを覚え、関わるアーティスト、支援員によって意外な驚きを示してくれます。その人なりの成果が見えています。チームワークによる大作品も、個人の作品もともに協働作業の意識が芽生え、たくさんの宝物が完成しています。障がいのある方にとってのアートリンクは、社会参加につながる事と無限な可能性を引き出すことを確信しました。今後とも継続していくことを願っています。ウインドヒル 和田 真由美待ち遠しいダンスの時間。楽しいレッスンの時間はあっという間に過ぎてしまいます。音楽に合わせて全身を使い表現することで、知らなかった自分自身の発見があります。大きなステージで眩しいスポットライトを浴び、たくさんのお客様に見てもらうことで自信に繋がる。ステージ上のメンバーの表情はとても素敵です。今年度で3 年目となり、ダンスを通して自分を表現することを楽しまれています。最近は頭や肩、手など体の一部に触れたり、繋げて行うパフォーマンスで、一人では表せない、誰かと一緒だから伝えられる事を表現しています。1人より2人、2人よりたくさんのメンバーで作られるダンスは、感動も大きく、見ている人もきっと一緒に踊りたくなるはずです!朝日平成園 村西 八重2年目を迎え、今回は大きな舞台「福祉のつどい」で発表することを目標に取り組んできました。いつもの楽しい「空間」が目標をもって取り組む姿勢に変わり、「ドキドキする」と言いながら、お互いに「上手だよ」と相手のいいところを褒め合い、気持ちを高め合ってその日を迎えました。舞台前の緊張は今まで見たこともないような強張った表情や汗ばんだ手をしていた人も、出演後はなんとも言えない満足した表情で充実感いっぱいでした。利用者さんはアートリンク事業を通してひとつ大きな経験をすることができました。職員も一人ひとりの利用者さんのもっている可能性に驚かされました。これも岩本先生の新しい視点からのアプローチによるもので利用者さんの個性をアートに組み込み表現してくださったことに他ならないと思います。今後も私達は、利用者さん個々のエンパワーメントをどんどん引き出し解放することで自分を表現していってほしい、人と共感すること、また共有することの楽しさを味わってほしいと願いながら、アートリンク活動に参加していきたいと思います。ワークプラザ・たんぽぽ 向井 愛今年も去年からの引き続きで「芸術」の時間を持つことができました。今年のテーマは「おしゃれ作り」。それぞれに自分だけのT シャツやブローチ、マフラーなどを作りました。しかし…不器用な職員が多いクローバーハウスこがもは、作品作りに悪戦苦闘。あっちこっちで、職員の「せんせーい、わからーん。からまるーーーー」と言う声が。感性を高める静なる時間のはずが、先生の声が聞こえないほど賑やかな時間となりました。どうにかこうにか1年かけ、職員と利用者さんとで協力し合い、おしゃれな物ができあがった気がします。楽しく賑やかな時間を過ごすことができました!クローバーハウスこがも 滝川 真理「ワァー、かわいい!!」「おー!すごいね!!」驚きと発見の連続でした。今まで絵といえば自分の形を名前しか書かなかった人、アニメのキャラクターしか描かなかった人、車の名前しか書かなかった人達がニコニコとイキイキと粘土をこねて、カバの親子、カメの兄弟、鳥、タコ、ダンプカー、新幹線と次々と友達と競って作りました。山端先生のホワンとみんなを暖かく包んでくれる空気感の良さがみんなの新しい制作意欲を刺激して、ドンドンと新しいものにチャレンジできたのではないでしょうか。夏にはちぎり絵で季節の花々を、年末には芋版で年賀状を、そして年間を通して粘土で小皿、土鈴、一輪挿し、そしてアートリンクの作品・・・と毎回新しい物づくりを学んできました。日々農耕で土に慣れ親しんでいるのか、粘土を触ることに抵抗もなくむしろ、その手触りの良さ、柔らかさ、やさしさが手のひらから伝わり、みんな穏やかな良い笑顔で作品作りができました。たんぽぽの家 橘 朱実今年はついにCDを作成させて頂くことになりました。人生初のレコーディングはとっても興味深く、貴重な経験でした。立てられたマイクや数々の機材が並ぶいつもの練習部屋に、一歩踏み入れた時の興奮は今でも忘れられません。あまりの迫力に最初は緊張気味でしたが、一度リハーサルをしてみると、すっかり体も温まり、笑顔と笑い声が絶えないレコーディング現場となりました。苦労したのは曲の始まる前と、終わった後には静寂の時間が数秒間必要で、その間物音も咳払いもしてはいけません。皆にとっては厳しい時間でした( 笑)。一人ひとりが鳴らした音が集まり繋がり合ってできた音楽は、一人の力は小さくても仲間が集まれば大きな力が生まれる事を私たちに教えてくれました。ほのぼのワークハウス 藤田 裕子昨年から新しい利用者も増え、施設も賑やかになった頃に新たな曲作りや県外初での音楽発表会を成功させるなど、アーティストとして磨きがかかってきました。2017年は当初からの目標だったCD作りに向かって急ピッチで練習に励む日々ですが、普段の日常に音楽というカデゴリーが根付いているように感じます。そのCD作りに関しては、様々な方のサポートに加え、利用者同士でのCD作成委員会を立ち上げ意見を交わし合い本格的に進めているところです。これまでの音楽に費やした時間や感情は財産だと思います。ほのぼのワークハウス 田淵 亜希子中村さんはアートリンクの初日の表情は少し硬く、体全体に力が入っている様子でした。伊藤さんと挨拶をして自分の好きなアニメ、野球、音楽の話を実際のCDや野球名鑑を見ながら熱く語りながら楽しそうに話していました。何度か会う中で、伊藤さんが中村さんの良い関係づくりが出来ている事にビックリしました。2人が話している様子を見ると以前からの長い間の知り合いのように思えたのです。高松市美術館で展示期間中、中村さんと伊藤さんは皆の前で絵を描くというライブをしたのですが、会話をしながらのびのびできていました。中村さんは豪快に感性をフルに発揮してそこに伊藤さんが味付けをしているように見えました。実演終了後に中村さんにどうだった?と話しかけると「楽しかったよ」と笑顔で話していてこちらも嬉しくなりました。中村さんは今回のアートリンクで信頼できる伊藤さんと巡り合え、会うにつれて安心感も出てき、中村さんの素晴らしい感性を引き出してもらえたことで自然体で生き生きと取り組めたのだと感じます。この経験を踏まえて今後も施設で中村さんらしく生き生きと笑顔でいろいろな事に取り組んでいけたらと思います。サン 東口 誠「やっちゃん、アーティストの先生と絵を描いてみる?」との問いに「やる。」と躊躇のない一言でアートリンクに参加することになりました。作業を毎日淡々とこなしている彼女に、非日常がおとずれました。目の前には、今まで見たことないような色とりどりの画材。とても優しいアーティストの先生。特別な時間の始まりに、彼女の口元がニヤリと微笑んだのがとても印象的でした。制作には戸惑いながらも様々な作品が生まれました。美術館の展示では自信に満ちたアーティストの顔になっていました。制作の終わりにさしかかった頃、彼女が、私を呼び止め、「将来、画家になりたい」と宣言しました。55 歳、素敵な将来の夢を見つけることができました。あゆみ園 市村 彰啓日常生活の出来事の中で言葉にできない思いを、感じるままに画材を使って思い思いに描いて行き、生活感あふれる心が温まる色合いで自己表現し、温かい創作品ができています。地域交流の場では保育園の子どもたちを交えながら「一緒につなぐ」をテーマとして夢の虹の架け橋の作品を作る事ができ、子どもたちの感性も感じながら創作の時間を過ごす事ができました。この活動を通して一人ひとり持っている個性や感性を発見し、それを生かしながら素敵な作品がいろいろと生まれています。言語的コミュニケーションを図るのが難しい方でも自己表現の手法の一つとして、これからもハートアートリンクの場が活かされていくことを期待したいです。かすがの里、あじさい 野町 雷音参加施設のスタッフからのメッセージ55 | | 56