ブックタイトル高松市障がい者アートリンク事業

概要

高松市障がい者アートリンク事業

アートを通して豊かな社会を創造する想像性の芽をもつ障がいのある人や子どもなど何物にもとらわれない表現をする人と、アーティストが1対1のペアになり、長期継続的な関わりから生まれる新しい概念をかたちにしていくアートリンク・プロジェクト。一人の時とはまったくちがう、その二人だからこそ生まれる世界は果てしなく広がっていく。そこには、個対個から生まれる関係性を作品というかたちにし、その軌跡から新たな価値・可能性を考えていくというねらいがあります。出会ったことがない二人から始まったことが、家族や関係者に新たな視点をもたらす契機となってきました。アートを世界観の拡大ととらえると、アーティストは概念をつくる人であり、障がいのある人は、生まれながらに私たちを揺さぶる概念を持っている人ともいえます。2010年、2013年の瀬戸内国際芸術祭にあわせて開催した、「高松アートリンク・プロジェクト」では、高松市内の障がいのある人たちがアーティストとペアになって、繋がりをかたちにし、多くの人を魅了しました。私たちは、2003年から、高松市と姉妹都市であるフロリダ州セントピーターズバーグ市内のNPOクリエイティブクレイで行われているアートリンクと交流を続けてきています。この国際交流は市民レベルの交流ですが、一個人のアーティストが地域の障がいのある人と出会い、関係性から作ってきた作品や、あるいは関係性が構築されていく過程そのものがコミュニティに、新しい価値として還元されていく双方の過程を見てきました。私たちは、現代社会では、かつてのようなモノにおいて成長を遂1