ブックタイトル高松市障がい者アートリンク事業

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概要

高松市障がい者アートリンク事業

移される続けるイラスト久保さんのカバンには、好きな絵本数冊と膨れ上がったクリアファイルが入っています。絵本はドラえもん関連のものが多く、ファンであることがうかがえます。ファイルには、ドラえもんの絵本の一コマのキャラクターがびっしりと隙間なく描かれた紙がファイルの保存量の限界を超えて保管されています。そして何より、僕が驚かされたのは、その紙に描かれた一コマは、施設の方によるもが99%ということです。毎週のワークショップでは、彼女は机にファイルと絵本を並べ、補助で入ってくださっている施設の職員もしくは僕に、絵本の一コマを指さし、描くスペースのない紙の、さらに隙間に描き移すように指示してきます。当初は、忠実に描き移していた僕は、試しにキャラクターを太らせてみたり、ひげを生やしたりするなど原画と異なる物を描いたのですが、特に咎められませんでした。時に、既に描かれた紙のキャラクターの中から彼女は一つを選びだし、別の紙へ描き写すよう指示を出してきます。コピーがコピーを生み、もう何が原画だか分からなくなるものも多くなってしまって、膨れ上がったファイル。久保さんにとって、描き移す行為を指示し見守るという他者とのやり取りが重要なのかもしれません。でも、ちょっと気になるのは、クリアファイルにはなぜか「燃えるゴミ」と書いたシールが貼られているのです。9